第17回品質工学研究大会でマツウラより4件発表
マツウラでは平成8年から品質工学に取組んできました。現在社内で毎週火曜日に品質工学勉強会を行い、様々な部門から参加があります。第17回品質工学研究大会でマツウラより4件の発表が行なわれます。概要を紹介いたしますので、是非研究大会に参加下さい。
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▲社内の品質工学勉強会 |
■大会詳細
日時: | 平成21年6月29日(月)、30日(火) |
会場: | きゅりあん (東京都品川区東大井5-18-1) |
主催: | 品質工学会 |
発表概要
- シール剤の機能性評価
青木規泰(生産本部 第一組立)
シール剤テープを巻く作業方法の安定化と効率を目的とし、複数のシール方法について機能評価を行い、その良否を品質・コストから評価した。
- CAEによるマシニングセンタ構造体の最適化設計
吉田光慶(技術本部 開発研究)
マシニングセンタ構造体の高剛性を目的として、CAEを利用した構造体の最適化設計を行なった。経済効果を考慮するために剛性と重量の比である固有値で評価を行い最適化の検討を行なった。
- 品質工学の加工工程内導入のその経緯
河野数一(生産本部 統合物流 ゼネラルマネージャー)
加工部門においてトップダウンからの社内推進の進捗状況と社内の意識改革の変遷について報告する。
- 金属光造形における積層造形条件の評価方法の再検討
天谷浩一(取締役技術本部長)
金属光造形複合加工機の造形条件の評価方法として、ワークを切削した電力を用い評価を行い、次にパラメータ設計、MTシステムを用いて検討を行なった。
その後、利得の再現性の課題を含め複数の課題が見出されたので、造形条件の電力による評価方法の確立を目的とし、再実験を含めこれかの課題の再検討を行なった。
マツウラの品質工学の取組み (財)日本規格協会参事 矢野宏
松浦機械製作所は不思議な会社である。松浦正則会長は、きわめて紳士的であるということから、機械系の業界では信頼が高い。しかし、筆者が見たところ、技術的な問題がたくさんあった。素直に指摘したところ、社内は賛同と反発に真二つに分かれた。
結果として松浦勝俊社長の力により、マシニングセンタの主軸設計に品質工学を採用し注目を集め、一躍品質工学の分野で名前を上げた。しかし、この会社でも全社として品質工学を活用している訳ではない。そこにどれだけ品質工学を活用している技術者が居
るかである。
幸いなことに、そのような技術者が育ち始めている、しかもマネージャーと若手技術者の両方である。両方で育っている企業は必ずしも多くはないが、品質工学を推進するためには必須条件である。同社の品質工学導入の過程が決して順調ではなかったことを見ている著者から言うと、冒頭の不思議ということにつながる。
生産技術で品質工学の活用を考える時には、加工条件よりも加工機のパラメータ設計、つまり加工機の最適設計が重要である。これを現実に試みてくれる会社があることは有難い。実は著者は、東京で毎月1回「お金の払えない人の品質工学研究会」(NMS)という会を行っている。
平成20年10月、ここで天谷浩一取締役技術本部長が加工機の設計思想を語ってくれて、参加者に深い感銘を与えた。単に良い設計を行っているということではなく、品質工学を活用して設計を行うことで、設計者が技術的満足感を得ているということである。
田口玄一博士が提唱している品質工学の最終目標は「社会的自由の総和の拡大」である。総和ということは、単に消費者さえ良ければとか、企業が利益を出せば良いというとは異なる。仕事に従事している人の幸福感も重要である。現在の社会が閉塞感に溢れていることを考えれば、新しい突破口として考えてよいであろう。
これからの発展が楽しみである。
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