東京都立産業技術研究センター城南支所で
金属光造形複合加工機・技術セミナー及び加工スクールの開催


 マツウラでは、レーザ事業推進室を中心に金属光造形複合加工機に関する加工技術の開発、及び営業活動を実施しています。
今回、東京都立産業技術研究センター城南支所とマツウラの共催で「金属光造形複合加工機・技術セミナー及び加工スクール」を1月16日〜18日の3日間開催しました。
同センターは平成15年3月に「ものづくりIT技術開発・実用化支援センター」の新規事業として、マツウラの金属光造形複合加工機「M-PHOTON 25C」を導入し、 加工技術の研究会を立ち上げ研究を進めています。

 大手電気メーカー、自動車部品メーカーなど様々な分野から、技術セミナーには60名、加工スクールには11人の参加がありました。
地域は関東地区のみでなく、長野、新潟、福島また関西方面からもあり、活況の中での開催となりました。

 開催に際し、同センター城南支所の田村支所長からの挨拶で始まり、同センター内で活動している加工研究会の会長牧野俊清氏(長津製作所会長)から 「日本は新しい”ものづくり”を開発していかないと生き残れない。試作開発が大きなポイントである」と本セミナーへの期待を述べられました。
また松浦社長も挨拶に立ち「中国では、一般的なものは中国国内で作れると強気である。 日本国内で何を行うかが大事であり、金型を含めて一連の生産革新が不可欠である。 その意味で、この金属光造形複合加工機で、世界でこの機械でしか出来ない”ものづくり”を実現したい」と述べました。


最先端技術の事例が詳細に紹介されたセミナー


セミナー1 通気性を有する金属光造形金型のエアベント効果

国立大学法人 九州工業大学 鈴木・樽原研究室
小島 道雄 様


 同大学では平成17年3月に先端金型センターを開所し、設計から金型製作、成型までの研究を行っています。
同センターにマツウラから金属光造形複合加工機「LUMEX 25C」が設備されて、現在同大学では金型の大学院開講に向けて準備中です。

 セミナーでは、レーザ照射条件を変更することにより、通気性を有する構造を任意箇所に製作が可能であることが紹介されました。
この技術を利用して、型部と通気部を同時に持つエアベント金型注1)を造形することで、ガス抜きのために金型分割が不要になり、 また生分解性プラスチック注2)などの難成形材料の成型不良の低減の実現が報告されました。

注1)エアベント金型:成形時に金型内に留まる気体を自動的に排出可能な金型。
注2)生分解性プラスチック:廃棄されたときに土中や海水中で微生物により分解され、最終的に水や二酸化炭素になるプラスチック。



セミナー2 3D水管によるハイサイクル成形の事例

株式会社 山城精機製作所 美弥工場 技術部
齋藤 英樹 様


 同社は、プラスチック成形の自動化を中心として成形機、自動化設備、金型までのトータルサポートを行っています。
今回のセミナーではプラスチックを成形する場合に金型に発生する熱量を調節する目的で、最適な水管を内部に持つ金型の製作が報告されました。
金属光造形複合加工機を使用すれば水管が内蔵された金型の製作は可能ですが、どのような水管を設計するかが課題です。
サンプル品を事例に水管設計と冷却時間における成形プラスチックの反り量の関係が発表されました。
今回のテストに使用された金型は、城南支所に設備している「M-PHOTON 25C」で製作しました。


セミナー3 サービスビューロの事例

株式会社 OPMラボラトリー 代表取締役
森本 一穂 様


 同社は、金属光造形複合加工機「LUMEX 25C」を早期に設備してサービスビューロとして精力的に活動しています。
同社からは、最新の技術としてコネクト部品への適応事例が紹介されました。 機器内の接続部品は、部品点数の増加により省スペース性、小型・薄型化へと進み、それらを接続するコネクタに高い信頼性が求められています。
コネクタの形状は、ピンの微細化と形状の複雑化へと動き、切削による金型製作に限界がきていますが、 金属光造形複合加工技術を駆使して、微細な形状の金型製作に成功しています。
実例としてマイクロSDカードに使用されるコネクタが示され、その実用性の高さに会場から驚きの声が上がっていました。


 出席者からは「金属光造形加工技術は、間違いなく実用レベルに達していることに驚きました。 また高精度な領域まで踏み込んでおり、今後も進化が期待できる」との声がありました。
金属光造形加工技術は、実験室レベルから使用レベル、更には夢を実現できるレベルへと確実に進歩していることを示したセミナーとなりました。


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