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創業大正10年と80年の歴史を持ち、
プラスチック(合成樹脂)部品の加工で最先端産業を支える

─ 株式会社神戸製作所 ─


株式会社 神戸製作所の概要
住 所〒379-0122 群馬県安中市下間仁田22
TEL:027-381-1141
FAX:027-382-0084
E-mail:kanbe@coral.ocn.ne.jp
代表者代表取締役社長 神戸 洋彦 氏
創 業大正10年7月
設 立昭和58年8月
資本金1,000万円
従業員25名
事業内容各種プラスチックの精密部品、試作モデル及び樹脂加工全般
製造品目金融ATM部品、医療機器部品、各種専用機部品、検査治具部品等

株式会社神戸製作所
会社全景


 今回は、創業大正10年、創業80年と歴史ある株式会社神戸製作所を取材いたしました。
同社はJR信越本線の安中駅から南へ車で10分ほどにあります。
「私で3代目です。祖父神戸学が東京都墨田区でセルロイドの加工で創業しました。 創業当時はセルロイドで装身具やプラスチックのかんざし等を作っていました。 昭和20年に現在の群馬県安中市に工場を移転しました。 2代目は父神戸谷三です。 昭和28年に有機ガラス板(アクリル板)によるタイプライタ部品の製造を開始し、これ以後工業製品の製造業に主力を移していきました」と創業以来の歴史を語る神戸洋彦社長です。


代表取締役社長 神戸 洋彦 氏

プラスチック加工に特化

 神戸社長は大学卒業後24歳で同社に入社。
平成6年から社長に就任しています。
「昭和23年に粉末有機ガラスを使ったコンプレッション成型を行っていました。 成型業のために金型も扱っていたので、金属加工に転換する可能性もありましたが、プラスチックの切削加工分野に特化してきました。 40年前、プラスチックを専門に加工している会社は余りありませんでした。 その当時の取引先は小さな会社でしたが、現在有名大手企業になってる会社もあります。
しかし、長年の信頼関係により、それらのお客様とは直接取引をしています。 プラスチック部品は、1個の試作もあれば、1000個・2000個の量産品もあり、多品種変量生産が求められるので納期管理が最優先です。
1日約50件以上の受注がありますが、その日の内に受注処理をして、翌日の朝には現場に工程表を渡しています。 仕事先の傾向は、以前主力でした金融ATM関連部品は減少、医療器械部品は横ばい、それに比べ半導体製造装置の部品と消耗品が増加しています」と神戸社長。


プラスチック加工品

精度・生産性向上に貢献するマツウラ

 昭和58年にマシニングセンタを導入し、現在では15台の立形マシニングセンタが稼動しています。
また汎用フライス盤が6台あり、試作や1個ものに威力を発揮しています。
「マツウラとの縁は、機械商社の紹介でした。 プラスチック加工では機械剛性も必要なく、主軸テーパー30番の小型マシニングセンタで良いと考えていました。 しかし半導体製造装置関連の部品が増え高精度加工と小径加工の要求に応えるために、平成15年8月に2面パレット装備の立形マシニングセンタ"RA-2G"、 平成18年8月に同形式の立形マシニングセンタ"R.Plus-550"を導入しました」と。

 また「マツウラの導入で今までの発想が変わりました。 従来のマシニングセンタでは主軸回転が上がらず、送りも上げられませんでした。 しかしマツウラのマシニングセンタは主軸が15,000回転と高いので、送り速度も上げることが可能になり生産性が向上しました。 実際に加工時間が70%以上削減できた部品もあります。 また高速主軸により、小径工具(1mm以下)の工具が使用できるようにもなり加工分野に幅が持てるようになりました。 またプラスチック加工は1個の加工時間が短いために無人運転するとの発想はありませんでした。 しかしマツウラのマシニングセンタは2面パレット装備なので、無人運転も可能になっています。 更には半導体製造装置関連部品には高精度が要求されますが、マツウラで加工すると安定した高精度加工が行え、品質向上を実現しています。 プラスチック加工は加工時間が短いので機上での加工プログラム確認作業の短縮と精度が機械の稼動率を決めます。 それには2台のマツウラのCAMシステム"GibbsCAM"(2.5次元と3次元)が重要な役割を担っています」と神戸社長。


「R.Plus-500」と「RA-2G」

 プラスチック加工分野では、以前モックアップ(実物そっくりに似せた模型)があり、3次元の複雑な形状が多くありました。
しかしそれらが減り、装置関連の部品が増え、3次元加工を必要とする仕事は減っています。
国内のプラスチックの業界では試作加工は減少傾向です。
これらの仕事は安い単価を求めてアジアに流れています。
客先図面はインターネットで、製品は飛行機で送られてくるので、試作加工だけでは経営が厳しい状況です。
同社でも試作品は減り、部品製作が増えているのは、このためです。

 またプラスチック材料も多種多様で次々と新しい材料が開発されています。
代表的な材料では、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネイト、ポリセタール、PEEK等があります。
「アクリル材は、機械カバーなどに使われるので、お客様によって色や大きさが異なるので材料の確保が大変です。 プラスチック材は1枚板での購入になるので、分割での販売はありません。 特殊な材料でも1枚購入し、残りの材料は在庫になることも有ります。 特に半導体製造部品関連は材料の進歩が激しく、海外から取り寄せる場合もあります」と材料確保に苦心される神戸社長の言葉でした。


磨かれたような汎用横形フライス盤



 工場内では、すべての機械が新品同様な状態で使用されているのに驚きました。
古い6台の横形汎用フライス盤も、磨いたようにきれいな状態です。
確かにプラスチック材のみの加工の為に切削油は使用しないのも要因ですが、設備機械を大切にするとの同社の企業文化が、 高品質な"ものづくり"を継続している基本であると実感しました。


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