こんなユーザー No.107
電力関連のタービンブレード部品製造で特化する
─ ユニ精機株式会社とコスミック有限会社 ─


ユニ精機株式会社の概要
住 所〒198-0023 東京都青梅市今井3-4-26
TEL:0428-31-6001
FAX:0428-31-5527
代表者代表取締役社長 石井 仁一 氏
創 業昭和45年
設 立昭和47年10月
従業員10名

コスミック有限会社の概要
住 所〒198-0024 東京都青梅市新町5-32-6
TEL:0428-30-7565
FAX:0428-31-6645
代表者代表取締役社長 石井 敦 氏
設 立平成18年6月29日
従業員5名
 
事業内容タービンブレード・検査治具・加工治具・設計製作、同時4、5軸マシニングセンタ加工


工場全景


 今回は東京都青梅市で電力企業向けにタービンブレード部品を製作しているユニ精機株式会社と、コスミック有限会社を取材しました。
コスミック有限会社の社長石井敦氏はユニ精機株式会の社長石井仁一氏の長男で、平成15年にユニ精機社から独立して創業しています。
両社ともタービンブレード製造には高い技術力を持っています。

ユニ精機株式会社 代表取締役社長 石井 仁一 氏 コスミック有限会社 代表取締役社長 石井 敦 氏


常に先を見つめるユニ精機社の石井仁一社長

 ユニ精機社の「ユニ」は「ユニークなことを行う会社」との意味を込めて創業者の石井仁一社長が命名されました。
ユニ精機社は、常に時代の先々を考えて会社の中身を変化させています。
石井社長は、修行時代に金型に関する色々な経験を経て精密金型製作で創業。
その金型製作技術を生かして、プレス加工でリードフレームの製作を行っていました。
それ以後先端分野を求めて、半導体接続子部品プレス加工、ボンディングマシン部品加工、半導体部品加工、更にはハイブリッドICリードフレーム加工と変化を続けてきました。
しかし昭和64年に立形マシニングセンタを導入してタービンブレード加工を開始した時に 「金型産業は、コスト低減を求めてアジアへ移っていく傾向にあります。 このまま金型、プレス加工を続けても将来性はないと考えて新規分野のタービンブレード加工を中心とした経営に方向転換をしました」と当時の決断を語る石井社長です。


集中と選択でタービンブレード加工メーカーへ変身

 方向転換を決定した以後、次々と立形マシニングセンタ、また横形マシニングセンタを設備。
そして三次元CAD/CAMシステムを導入することで、本格的にタービンブレード加工に適した生産体制を確立し、大手からも注目を集める企業へと変革していきました。
しかし、その当時の加工方法は立形、横形マシニングセンタを使って2工程でタービンブレードを加工するのが普通で、 5軸加工での製作には至っていない状況でした。

 平成15年に中古機市場でマツウラの5軸加工機「MAM72-3VS」と出会い、 「5軸機でタービンブレードの加工を行えば1工程で製作でき、また高精度で加工できる」と石井社長は直感し設備を決定したことがマツウラとの出会いでした。

 既存のCAD/CAMシステムも5軸加工プログラム作成に力を発揮し、5軸加工でのタービンブレード加工では他社の追従を許さないほどの技術力を培ってきました。
「このMAM72-3VSの導入により、5軸加工における加工精度の信頼性向上、また多面パレットでの無人運転でコストや納期対応力が格段に上がりました。 この実績が評価され、次々と大手企業との取引が開始され、平成19年までの生産計画を提示する企業もあります」と石井社長の言葉です。


タービンブレード加工を行なう「MAM72-3VS」


全員21歳と若きコスミック社

 ユニ精機社の取材を終え、すぐ近くにあるコスミック社を取材いたしました。
コスミックの意味は宇宙を表す「コスモス」から「無限に広がる」との意味を込めているとのことです。
ユニ精機社の第二工場として稼動していた工場を平成17年にコスミック社として独立。
石井敦社長は37歳、そして5名の社員は全員21歳と若き集団です。
「社員は、いきなり4、5軸を操作するので、これが普通と思ってやっている。それだから5軸加工も怖くない。 もし3軸の加工を経験していると怖くて能率が上がらないでしょう」とコスミック社の石井敦社長。


タービンブレード加工に最適だからMAM72を増設

 「タービンブレードの形状も複雑化し、同時5軸でしか加工できない箇所が増えています。 またタービンブレードには耐熱性などが求められるので、削りにくい硬い材料が使われています。 しかし、設備しているMAM72についているテールストック機能は、荒加工のとき、材料をテールストックで押して固定するために加工剛性が確保できます。 仕上げ加工では、同時5軸機能を使い高精度加工を行っています。 タービンブレード加工にはMAM72は最適です。 今まで同じ機械は増設したことはありませんが、MAM72は別です。 絶対に必要な機械と思い2台目を注文し、7月末には設備します」と石井敦社長。


無人運転で効率アップ

 「硬い材料なので、刃物が加工途中で破損する時もあります。 しかしMAM72では、自動工具測長、破損検出機能を使って無人運転を行っています。 これらの機能により安心して高精度な無人化運転できるので、この少人数でも十分戦えます。 先日も社員旅行で工場を留守にした時でも、MAM72は工場で無人運転していました」と石井敦社長の言葉でした。


 タービンブレードの形状は同じに見えますが、微妙に形状が異なります。
また個数も少なく、正に多品種少量生産で無人化しにくいアイテムです。
しかし今回取材ではMAM72が、無人化を安定的に実施しているのを見てMAMシリーズのコンセプトが時代にマッチしているのを実感した取材でした。


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