ユーザーを訪ねて No.122
株式会社 OPMラボラトリー

金属光造形複合加工機「LUMEX 25C」で金型産業の革新を目指す企業


株式会社OPMラボラトリーの会社概要
本社
 電話番号
 FAX番号
〒600-8815 京都市下京区中堂寺栗田町93 京都リサーチパーク3号館 B107号室
075-314-3446
075-314-3448
ホームぺージhttp://www.opmlab.net
代 表 者代表取締役 森本 一穂 氏
創 立平成16年9月
従 業 員15名
事業概要・金型設計・金属光造形複合加工サービスビューロ
・金属光造形複合加工の受託研究及び用途開発
・金属光造形複合加工用CAM、シュミレーションソフト開発及びソリューション販売・教育・サポート
・金属光造形複合加工機「LUMEX 25C」の販売

OPM
(株)OPMラボラトリーが入っている京都リサーチパーク3号館



 今回のユーザー訪ねては、京都駅から車で10分ほどにある京都市リサーチパーク内にある"ものづくりベンチャ企業"株式会社OPMラボラトリー(以後はOPM社とする)を取材しました。
京都リサーチパークは京都府、京都市、地元産業界との協力・連携で地域産業発展・活性化に寄与することを目的に、 全国初の民間運営によるリサーチパークとして平成元年(1989)にオープンしています。
6号館までの施設があり、既に200社以上の企業の集積を実現しています。
また隣接地には京都市産業技術研究所、工業技術センター、京都高度技術研究所、京都府産業プラザがあり、 起業家や第二創業を目指す経営者に全てのサービスを提供できる新産業創出拠点なっています。
通常であれば、このような施設は郊外に建設されますが、このリサーチパークは京都市内の中心部に建設され、 歴史深い文化と最新技術の融和を目指す京都の姿勢を強く感じました。

 「京都は、京セラや日本電産などを輩出した"ものづくベンチャの発祥地"であり、またグローバルに見てみると京都という名前は”ものづくり”においても世界ブランドになります。 また多くの方は、学生時代に修学旅行などで一度は訪れているので、雰囲気的にも身近に感じる土地柄だと考えています。 私自身は大阪出身ですが、この新しいビジネスを行なう上で、この地がベストと思い、マツウラの"LUMEX 25C"を設備し、京都での創業を決めました。 また会社名のOPMはOne Process Machiningの略称です。 金属光造形複合加工によりワン・プロセスで複雑な形状の加工をすることを表現しています」と森本一穂社長は京都を選び、 光造形にかけるいきごみを熱く語って頂きました。

金属光造形複合加工のビジネスは私の天命

森本社長
「金属光造形複合加工のビジネスは私の天命」と誇らしげに語る森本社長

 森本社長はCAD/CAMの開発、営業、そしてマーケティング業務の経験がありました。
その時に金属光造形複合加工技術のアプリケーション開発を松下電工株式会社と行なっており、この金属光造形複合加工機の可能性に注目していました。
マツウラと松下電工株式会社との共同開発の成果による「LUMEX 25C」の発売を契機に創業。
「OPMラボラトリーを創業するまでに経験してきた知識、人脈を全て生かし、3年後にこの工法が樹脂金型製作の工程に必要不可欠な技術となると確信しています」と森本社長は力強く語られました。


金型製作のエキスパート集団でトータルソリューション実施

 社員は15名で、半数は金型製作経験者です。
全ての金型製作工程がこの新しい工法で出来る訳ではなく、従来の加工方法と新加工方法を上手く組合せる必要があります。
その為にもプラスチックの部品設計、またプラスチック製品用の金型製作を熟知したエキスパート技術者が不可欠です。
また通常のCAMシステムでは素材から削り出す加工方法となり、金属光造形複合加工機の加工方法には適合しません。
従って半数の社員はソフト開発に従事しています。
この金属光造形複合加工専用CAM「CLIKS for MARKS-MILL」、更には加工検証を行なえる専用加工シミュレーション「OPMSim」の開発を行なっています。
金型はどれ一つとして同じものは無く、試作と修正の繰り返しを行い完成させます。

 従って金型製作を熟知した技術者が、自社開発のソフト群と加工機「LUMEX 25C」の両方を駆使できることがOPMの最大の強みです。


新加工方法の提案で、普及拡販

 「従来の切削工法を否定するのではなく、従来工法と組合わせる工法、また金属光造形複合加工でしか出来ない工法を開発し普及できればと思います。 現在、生分解プラスチックや難成形材料に効果のある多孔質造形技術が確立できている」と語る森本社長。
成形時に大量のガスを発生する生分解プラスチックや難成形材料の金型製作は、ガス抜きが難しく、成型不良との戦いでした。

 レーザによる焼結を変化させることで金型の密度をコントロールして、内部にポーラス層を意図的に造形することが可能となりました。
これにより金型壁面にガス流路を簡単に設定し、難成形材料の金型製作に活路を見出しました。

 レーザによる焼結技術には、この例からも見られるように、まだまだ可能性を秘めています。
環境に配慮した材料また人の皮膚に近い材料など新素材が今後開発されると予想されます。
必ず、その用途に合わせた成形が必要になり、金型開発には金属光造形複合加工機が重要な位置を占めることも十分考えられるのではないでしょうか。


金型製作に活躍するマツウラの金属光造形複合加工機「LUMEX 25C」


日本のものづくりに貢献する企業へ

 4月13日〜16日まで東京ビックサイトで開催された第16回INTERMOLD 2005ではマツウラブース内にOPM社で製作した金型を「LUMEX 25C」の横に展示しました。
「お客様と直接対話して見えてきたことがあります。 日本のものづくりでは生産性を上げるために部品のモジュール化を進めています。 そのモジュールを結合させるためのコネクター部品が複雑化、また精密化が進行しているので、金型製作に苦労していることが解りました。 展示会以後、コネクター用の金型製作に苦心されているお客様が来社され、多数のプロジェクトが開始されています。 例えば1〜2週間必要であったコネクター部品試作が28時間で行なえた事例もあります。 コネクター分野の重要性も認識し、この工法で"日本のものづくり"に貢献できることは嬉しいことです」と森本社長は語られました。


コネクターの金型


 今回の取材で森本社長のこのビジネスに賭ける情熱をお聞きし、 「マツウラがマシングセンタを販売開発した時に、不退転の決意で、それまで製作していた汎用フライスの木型を全て焼却した。 お客様が望まれても製作できない状況を作った」との松浦社長の話を思い出しました。
新しいことへの挑戦には常にリーダーの熱き情熱が不可欠であり、その情熱が強くなければ絶対に道は開けないとの真実を実感しました。
3年後には、この加工技術が日本のものづくりを支えるものに成長していると確信する取材でした。


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