松浦共栄会

第24期総会・研修会[11月21日]

特別講師に(株)樹研工業の松浦元男社長を迎え
「中小企業の生き残り戦略」と題して講演


”世界はメイドインジャパンに憧れている”と語る「マツウラ」の松浦社長


西村 明 松浦共栄会会長

 マツウラの資材及び部品の納入業者、ならびに関係協力会社など主要63社で構成される松浦共栄会は昨年11月21日第24期定期総会を開催しました。

 総会は昨年会長に就任した西村会長の開会挨拶で始まり、松浦副社長から「創立70周年に向け、更なる効率化を目指した企業経営を行い、 筋肉体質の企業グループへの変革を推し進めたい」と抱負が語れました。
議事は西村会長が議長となり、第23期事業報告と収支決算報告などが報告され、承認されました。
引き続きマツウラの松浦社長から「弊社製品の購入による販売貢献」で株式会社ウラテツ機械の浦岩生社長に感謝状と記念品が贈呈されました。

トップには環境変化を常に見極める認識が必要

 その後研修会で二つの研修講座が開講されました。
第一講はマツウラの松浦社長から「最近の経済状況と工作機械展望」をテーマで、最近の景気動向を踏まえ、工作機械業界の展望を講演。
先ず始めに最近の工作機械の現況を分析。
「本年10月で日本の工作機械売上は1兆円を超え、今年は1兆2,000億に到達する勢いである。 1997年に続く歴代2番目と高水準であるが、従業員数は約半数の23,000人であり価格も3割減の状況である。 しかし、今や日本の工作機械が無ければ世界が困る地位を固めた」と。
更に海外から見た日本の評価について「昨年春までは米国の有名誌には殆ど日本の記事は掲載されていなかった。 しかしこの1年で大きく変わり、毎週日本の特集記事を掲載している。 その原因はトヨタである。 トヨタのカンバン方式やハイブリッドシステムに関心を持ち、それを生んだ日本の文化や環境を知りたいとの要望が強い、 世界はメイドインジャパンに憧れている」と強調。
しかし自動車産業将来に触れ「慶応大学の清水教授が研究している電気自動車の開発は目覚しいものがある。 将来エンジンのない自動車の可能性もある。 そうなれば工作機械の需要はなくなり、トヨタ以外の電気メーカーが自動車を作る時代が到来するかもしれない」と環境変化を常に見極める認識がトップには必要と強調した。




数々の挑戦について、熱く語る松浦元男社長

 第二講は愛知県豊橋市にある株式会社樹研工業の松浦元男社長から「中小企業の生き残り戦略」と題して樹研工業で行なわれている数々の挑戦について、熱く語られました。
先ず始めに「世の中で全然役に立たない小型の歯車をつくり、売名行為の先駆者です。 しかし世の中に無い100万分の1グラムの歯車を作ることでロマンが生まれ、世界の有名企業とのビジネスが始まった」と紹介。
「中小企業戦略のポイントは品質管理と人材育成が重要です。 弊社では35年前から生産後3年間サンプル保存で品質管理を重視している。 また常に最新の機械を設備し、それに伴いスキルの高い従業員がいれば、不良ゼロを実現出来る。 また中小企業でも今後新技術の開発が出来る体制を持つ必要があり、そのためにも自前で決断できる自己資本率50%を目標とする財務戦略が重要である」と樹研工業の戦略の一端を語る。

 更に人材育成について「弊社は入社試験が無く、早いもの優先で採用をしており、入社後の社員の成長が企業の鍵を握っている。 以前は私と従業員が師弟関係で成り立ってきた。 しかし高度化する技術革新の中で、師弟関係では人材育成の限界が見えてきた。 先生から監督への変身が必要と実感している。 社員と対話を通じ、やりたいことを見つけて、こちらから提案をして上げる。 喜んで行動した社員は脱皮して帰ってきた経験が多数ある。 これから監督と選手の関係つくりに挑戦していきたい」と。
最後に「今三つのことを常に考えている。 一つは金持ちになろうと思わない。 二つにはえらくなろうと思わない。 三つには有名になろうと思わない。 このことを自戒の念として皆様にお伝えしたい」と締めくりました。


講演を熱心に聞きいる参加者


前画面へ戻る