こんなユーザー No.101
カリブ海から出た男のロマンをものづくりで実現
─ VRS社 ─


会社概要
会社概要VRS precesision Engineering Limited
代表者名Sylvia 女史
所在地英国 ハンプシャー州
創業1968年
事業内容各種精密部品


VRS社 工場及びスヌーカクラブ



左から1人目が、Sylvia社長

 イギリスの製造業は、定常的なポンド高、政府のサービス業よりの政策もあって、ここ十年は苦難の道を歩いています。
今は世界的な景気の上昇に助けられて、一息付けた感じがありますが、中国及び新しくEUに加盟した中欧諸国への生産移転等、将来への心配の種は尽きません。
そのような中で、いろいろな逆境にもめげず頑張っている英国ハンプシャー州港町フェアラムにあるVRS社を紹介します。


 VRS社を設立した故Rudi Sinanan氏はカリブ海に浮かぶ西インド諸島の一つトリニダート島出身です。
1995年25歳の時に英国に渡り、6ヶ月間工学コース受講の後、ポーツマスの造船所で働き始めました。
1957年に現社長であるSylviaさんと結婚。
1968年に独立して最初の機械を買い、自宅のガレージで、まず造船関係の部品加工の下請け業を始めました。
1979年に現在地に新しい工場を設立しました。
マツウラUKのJones社長はRudi 氏について「機械について非常に知識豊富で、本質を見抜く力を持つ人でした」と。
1980年から1994年の仕事は順調で、客層も造船関係だけではなく、航空機、医療関係と広がっていき、従業員も35名を数えるに至りました。
この間に当社の立形マシニングセンタ3台(MC-760V,MC-1000V,MC-510V)、横形マシニングセンタ2台(MC-400H-PC11, MC-450H-PC11)を購入頂きました。
当社機械の精度の良さとRudi 氏の営業手腕とで新しい顧客の開拓に成功されたとのことです。
しかしながら1995年に最初の大きな試練が訪れます。
Rudi 氏が病気で他界されたのです。
業務部長にFran さんを迎え状況が上向き始め、2003年にはISO9001も取得しました。
しかし災難はまだ続きます。
2003年の10月に工場二階にあったスヌーカ(ビリヤードの一種)クラブのキッチンから出火、これによりクラブの直下に設置されていたマツウラ立形機2台が全損。
また水道管の熱破裂、及び消火活動により、工場は水浸しなる等の被害を受けました。
(このスヌーカクラブは、スヌーカ台を10台持つ、フェアラムでは有名なクラブで、Rudi氏の息子Mikiさんと娘のSerenaさんが経営しています。 二人とも球技が得意で、卓球、スヌーカではプロ並みの腕前でした。)
これぐらいの災難では屈せず、工場は新しいマツウラ立型機2台を新しく設備更新を行い、クラブは火災の3ヶ月後には改装を完成させ、 伝説的なスヌーカプレィヤのJimmy White氏を呼び、盛大な再開所式を行いました。
Serenaさんは、工場の財務担当役員ですが、最近は工場の経営、営業の前線で活動されることが多いそうです。
16歳の時から、お父さんの手伝いを始め、28年間経理の方を見ていたとのことです。
新しい2台の機械の交渉では、お父さん故Rudi氏よりタフな交渉をされたとのことです。
若い時にはハンプシャー州の卓球のチャンピオンでしたが、最近は時間がないので、スヌーカしかできないと残念そうでした。
訪問当日、松浦社長の訪問を記念して、地元の新聞記者とのインタビューが企画されていました。
新しい機械の前での松浦社長とSylvia社長の記念写真撮影後に、2階の新しいスヌーカクラブにも案内頂き、 Serenaさんからスヌーカの手ほどきを受けました。

 製造業にはますます難しくなる英国で、カリブ海から出てきた男の夢を、いろいろなトラブルにもめげず、妻と娘がしっかりと守っている。
そのことに日本で作った機械を通じて貢献できていることはうれしい限りでした。

(取材:鞍津輪隆)


6月24日の地元新聞記事


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