手と足

手の文化、足の文化

 千葉大学名誉教授清水馨八郎先生の『日本人が忘れてしまった「日本文明」の真価』(出版祥伝社)を読みました。
清水先生は大正8年、山梨県出身。東京文理科大(現筑波大)卒業。
都市と交通研究で長く学界をリードし、経済企画庁の国民生活審議会委員、運輸省航空局の航空審議会委員など各種委員を歴任された方です。

 その本の中で『中近東・ヨーロッパ文化圏の人々は、遊牧、牧畜、狩猟生活を中心として大平原や砂漠を足で歩き回ることによって暮らしを立ててきた。 いわば足で稼ぐ民族、「足の文化」といえる。 日本人にとって手は人間自体を表現するというか、基本的原則のようである。 例えば歌い手、聞き手、やり手、若手、担い手のごとく、「手」即「人」である。 このように日本語には「手」のつく言葉が千以上ある。 日常会話の中に「手」のつく言葉が千ほどあって、誰からも教えられていないのに自在に操っている。 日本は正に「手の文化」と言える。 また、自転車のブレーキも日本では手だが、彼らは足でかける。』と書かれています。

 皆様も「手」の付く言葉を思い出してください。
「小切手」、「手配り」、「後手」、改めて「手」の付く言葉の多さに驚きます。
やはり、日本人は「手」を使う「ものづくり」が文化の中に深く根付いている民族ではないかと感じました。

 先日、小学5年生の生徒さんが工場見学で来社した時に、0.006mm、0.004mm、0.002mmの段差がある高精度サンプルに触れ 「判る、判る!」と喜ぶ姿に同じ日本人として「手の文化」の継承を実感しました。
日本人として「ものづくり」に自信が持てる話でした。


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