新方法による金属光造形複合加工技術とは――
高精度な加工が実現し、型寿命が延びる



 昨秋10月28日から開催された、東京有明の東京国際展示場(東京ビッグサイト)で話題を独占した 「新しい物作りの工作機械」の金属光造形複合加工機/多機能フォトンマシニングセンタ――。

 今回の金属光造形と高速切削加工による、金属光造形複合加工技術は、どうして着目し開発したのでしょうか。
もともと金属光造形法は、短納期・低コスト化の有効な手段として期待されてきましたが、 寸法精度や面粗度などで、満足できる装置や機械が存在せず普及が進まないのが現状でした。
そこで、これら従来からの問題を解決すべく取り組み、金属光造形と高速切削加工を融合(ハイブリッド化)させたのが、 新しい複合加工技術として開花したものです。

 新しく今回研究開発し、参考展示した本機の概要は、次のとおりです。

その方法は
  1. 金属粉末をレーザ焼結し、工具の有効刃長まで造形する
  2. 表面を小径工具により切削仕上げを行う
  3. レーザ焼結と高速切削加工を繰り返し行い、立体形状を造形する
というものです。

多機能フォトンマシニングセンタ
(金属光造形複合加工装置)


 多機能フォトンマシニングセンタとは、金属光造形加工機とマシニングセンタの持つ機能を融合一体化した装置で、 レーザで金属粉末を積層焼結しながら三次元造形を行う途中毎に、 形状寸法および表面粗さを整形させるためにスピンドル刃物で精密に高速切削仕上げ加工を行う装置です。



金型製造従来方式との比較

従来の金属光造形装置多機能フォトンマシニングセンタ
寸法精度±0.2mm程度±0.02mm以下
面粗度100μm程度10μm以下
型寿命1,000ショット程度10,000ショット以上
後工程必要不要


●マシニングセンタ

 工具の自動交換機能を備えた数値制御(NC)工作機械で、 フライス削り、穴あけ、中ぐり、ねじ立てなどのいろいろな一連の作業を、 一度の工作物取り付けで、完全にあるいはほぼ完全に自動的に行うものを、いいます。

※工具の自動交換機能とは、フライス、ドリル、タップなどの使用工具をあらかじめツールマガジン内に格納しておき、 NCの指令によって必要な工具を選択して、主軸に装着するという動作を自動的に行う機能


平成14(2002)年11月23日付「福井新聞」より転載


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