ユーザーを訪ねて No.109
谷田合金株式会社

試作・開発品の専門メーカーとして高い評価――
薄肉精密鋳物・高速精密加工のTANIDA!
ISO9001/14001をベースに受注から生産まで完全IT化


谷田合金株式会社 
本社工場石川県金沢市東蚊爪町ラ28-2
代 表 者代表取締役社長 谷田由治 氏
資 本 金3,500万円
売 上 高11.5億円(平成13年1月期)
従 業 員 数42名
事 業 内 容薄肉精密鋳物、高速精密加工の試作品と開発品の専門製造
U R Lhttp://www.tanida.co.jp/


谷田合金株式会社 工場全景

 「薄肉精密鋳物・高速精密加工のTANIDAです。 試作・開発品の専門メーカーとして高い評価を頂いています」とは、 金沢市で特異な企業経営を展開中の谷田合金株式会社のWelcome To TANIDA Websiteの第一メッセージです。

 その営業案内面では、こんな言葉で見る人の度肝を抜きます。
「E-MailかFAXで図面を送ってください。24時間以内にお見積書を提出致します。 コストダウン・製品能率アップのための提案から、私達TANIDAの仕事が始まります」。
同社が情報通信技術時代を先取りし、繊細且つ大胆に、そして着実に活用して新しいビジネスを展開していることが、 直に肌に伝わってきます。

 「試作品、開発品が私共の最も得意とするところで、かなり難易度の高い物でも、 下記の内容で製作可能です」と、得意分野を公開されている様は、同社の実力と自信の現れでしょう。

 第109回目の「ユーザーを訪ねて」は、金沢市近郊西のアルミ合金の製造と加工の一貫生産メーカー、 谷田合金株式会社 本社工場を、1月中旬に訪ねました。

<アルミの製造と加工の一貫生産メーカーに!>

 同社が創業から、銅合金鋳造業をされてきたものを、アルミ合金鋳造に変化してきたのは、 時代の変革を敏感に先取りされ、その先見性により「鋳造から加工を付加し一貫生産体制にして、 価値を高めることがタニダの生きる道」と決断されたからでしょう。

 この一貫生産への転換を、現社長の谷田由治さんは「15年ほど前に、加工分野を私一人で始めました。 5面加工を使って最初からです。 加工ノウハウは皆無で、先入観がなく思い切ったことがやれたんですね。 特に高速による加工も勉強しました。 この時の試行錯誤や工夫、努力が今に生きています」と話されます。

 そして現在は、アルミ合金による鋳造と加工の一貫工場に特化。
ロボット用パーツが主要な分野になりました。
このロボットは、半導体や液晶関連装置などに使われる搬送用ロボットに利用される高精度で少量なもの。
ただ、最近のIT産業の低迷で、生産量が低下してきた一方、自動車用エンジンの本体やエンジン関連のシリンダ、 クランクなどの試作品が好調のようです。

 さらに同社の強みは、材質をアルミ合金を中心としたものに特化させながらも、 各種合金から樹脂まで広範なものまで守備範囲としています。
仕様打合わせからモデル製作、鋳造、熱処理、機械加工、表面処理、アッセンブリーと一貫して行ない、 その殆どの工程はパソコンにより制御し管理されていることです。

 まさに、IT時代のノウハウを受注から生産、そして最終の出荷の工程まで、 同社はフル活用し企業経営に活かしており、IT時代の申し子を見せられた思いです。


<タニダは鋳物屋らしからぬ企業にすることを、目標にIT化で完全に脱皮!>

 この同社の実力は、社内の隅々まで行き渡っています。
例えば、機械能力を100%以上引き出している加工部門でも理解できます。
谷田社長は、「もともと高速加工の利用は、半導体のロボット用アームのパーツ加工でした。 アルミ材に0.2ミリの穴を10,000個以上開けるという加工物があったからです。 高速加工はカエリが出ないのが最大のメリットでした。 でも、高速機械をそのまま使わずに、機械の能力を引き出すために開発した、 タニダ独自のソフトやマクロが効いているんです。 タニダの機械設備は、どの設備でも独自に開発したソフトで、能力を極限まで引き出しています」と胸を張ります。

 この実力と実績が自信となって、タニダは営業活動を殆ど行なわず、 ここ2〜3年前からITのシステムを使って受注活動されています。
そして、「発注者自身が発注したものを、リアルタイムでパソコンの画面によって確認できる。 仕事や工程の流れがわかる仕組みになっているんです」と話す谷田社長。

 さらに谷田社長は、「鋳物屋は業界でも一番嫌な仕事です。 私は、タニダを鋳物屋らしからぬ企業にすることを目標としてきました。 親父の時代の銅合金の鋳物屋から、アルミ合金の鋳造と加工の精密な一貫生産工場へ大きく脱皮できたのは、 そんな思いを果敢に実行してきたからです」――と。

- ネット受注管理 -



<マツウラの高速加工もタニダ独自のソフトやマクロで、究極の能力を引き出す>

 同社の創業地だった現湊工場から、現本社工場へ新築移転の1996(平成8)年7月、 谷田社長が挨拶された「タニダは繊細且つ大胆な取り組みで前進したい…」という言葉通り、 2000(平成12)年11月には本社工場を増築し、鋳造部門を統合、本格的な鋳造と加工の一貫生産体制を確立、 今日に至っています。

 この転換は、現本社の本格的な高速切削加工への特化でした。
1995(平成7)年から翌年にかけて、複数台のマツウラの高速加工FXH70多面パレット付横形マシニングセンタ (主軸30,000回、送り速度10m)の設備で加速されてきました。

 谷田社長は話します「先入観なしの加工だから、高速加工が出来たんでしょう。 いまだに、そんな高速加工なんて意味あるの、と言う人がいるんですがね。 タニダは金沢工大との共同研究によって、高速加工用ダイヤツールを使ったり、 高速機械の能力を引き出すために、独自に開発したソフトやマクロ、 そしていろんな工夫などノウハウによって、今の谷田が完成しました。 最も高速加工の実績と経験を持っている機械を提供した、マツウラが高速加工機の発祥の地で、 それを採用したのも成功の一因です。 今では、これら高速加工機械を含めて、タニダの殆どの設備機械はITシステムによって制御管理され、 稼動状態もリアルタイムでモニターしています。」

機械工場
3万回転/10mの送りで精密加工
FMS
17〜27パレット500×500
松浦機械 FXH70型4台
3万回転仕様
搬送モニタープログラムは社内


ISO9001とISO14001の認証取得をベースにした、IT化による生産システムを完全に立ち上げ、 繊細且つ大胆に企業経営を実践されている同社の谷田社長。
その実行力とノウハウは、いま光り輝いています。
IT化がこれほど企業に本当の実力を発揮させたのは、同社のトップ谷田社長のリーダーシップのなせる技なのでしょう。
「常に最新の情報の中で、最先端の技術にチャレンジする存在であり続けたいと考えている」と言われる、 同社の将来こそ、北陸は金沢の地に、大胆に変革している「世界レベルの小さな企業」の中に、 大いなる予兆を見せ付けられた思いがしました。

 なお、同社ではホームページで、開発したマクロの一部と、 NC機械とパソコン間のユニークな通信ソフト(DNC運転も可能)を無償にて提供しています。

ロボット旋回部
平均肉厚2ミリ
AC4CH-T6
自動車部品
ダイカスト試作 AC2B-F
光学機器
ダイカスト試作 AC2B-F
熱交換器部品
ダイカスト試作 AC2B-F



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