こんなユーザー No.92
無人運転で土日も稼動 大活躍のMAM72-3V!
高精度・高品位の部品加工・組立で信頼の厚いケンタ社
―ケントナー社―


会社概要
商号ケントナー社(Kenter Feinwerktechnik)
創業1971
所在地ドイツ・ミュンヘン郊外
代表者ケントナー氏(Herbert P.Kenter)
従業員26名
資本金個人営業
事業内容光学機器部品・医療機器部品・電子機器部品等の加工・組立




 ケントナー社はドイツのミュンヘン郊外で、30年前の1971年、現在のオーナーであるハルベルト・P・ケンタ氏が26才で創業されました。
以来、精密機器用の部品加工・組立を一貫して進められてきましたが、 住宅街での操業だったことから環境問題などで移転を決意。

 1994年に現在地へ工場を新築し移転をされました。
ケンタ社長は
「従来比の2.5倍もの大きな工場を作ってしまいましてね。 大丈夫かと思っていたんですが、仕事が順調に増えたこともあって機械設備も増設し、 今では殆ど空きスペースもないほどですよ」
と話されます。

<主要設備はドイツと日本製のハイエンドメーカー製だけ>

 最近のビジネスは、さらに精密さを追究するハイエンドな仕事が多くなっているようです。
具体的には、シーメンス社のチップマウンター用ヘッド部品や、 ハイデンハイン社の光学機器と医療機器用部品などが増加。
ここ2〜3年は猛烈に多忙を極めている由。
2000年9月、2001年4月に新設された、マツウラのMAM72-3Vの2台は、土曜・日曜は勿論、 クリスマスや新年の休暇もなく働いているようでした。

 「わがケンタ社の設備は、ドイツのインデックス社製の旋盤4台と、日本のマツウラ製マシニングセンタ5台が主なものです。 いずれもハイエンドメーカーのものですがこの設備が、品質や精度面で当社の仕事をバックアップしてくれています。 特にマツウラ製MCは1988年12月に、MC-510Vを1台設備したんですが、その精度の良さに惚れ込みましてね。 以来89年、94年と続けて設備しケンタ社の稼ぎ頭になっています」
とケンタ社長。

 現在ドイツでは、技能者不足が深刻でケンタ社でも例外ではないらしい。
仕事は増えるのに、小企業故に腕の良い技能者に、きてもらえないという悩みがある、その上に
「3年前に冠動脈の移植手術を行いましてね。忙しい最中の手術でした。 病院で2週間のリハビリを受けただけで朝退院し、午後には仕事場へ。 私も昔ほど、無理がきかなくなってきました」
とケンタ社長の弱音も――。

<24時間フル稼動のMAM72-3VMは稼ぎ頭!>

 そんな時、丁度2000年2月にドイツのマツウラ社(MMG)から、 新しく移転したオフィスの開所案内が届いたようです。
自動車で4時間ほどの距離でしたが
「マツウラが今、どんなことをやっているのか興味が湧きましてね。 以前とは比べものにならない程、変身しているのではと期待しつつ、新オフィスを訪ねました。 マツウラが我がドイツで頑張っていることをこの目で確認して帰ってきました。 その時、見学した新しいMAM72-3Vが気になりましてね。 翌日、見積もりを頂き諸検討したところ、この機械なら私が今一番苦労している仕事を助けてくれる…と、確信しました。 早速注文、という超スピード決定でした」
とケンタ社長は振り返り、話されます。

 注文のMAM72-3VMは、90パレットの特別オーダーだったこともあって、納期は9月。
「工場長のリップ君も新しいもの好き。この機械を大変気に入り、わずか半月で完全に稼動まで持ち込んでくれました。 以来、機械は不思議なほど故障もなく働き通し。 ケンタ社の遅れ気味の納期は解消され、5軸加工のワンチャッキングで精度は安定している上に、 コストも下がり言うことなし。 親会社は他社の仕事まで、うちに回してきます」
とケンタ社長は、嬉しそうに話されます。

右から2人目が、リップ工場長

<2台目のMAM72-3Vはショールーム用を無理言って――>

 そんな状況下から、MMGのショールームに設置予定のMAM72-3VSを
「マツウラさんに無理をいって、ケンタ社へ回して貰ったんだ。 この2台目は準備が整っていたので、機械の設置が終わると直ぐ立ち上がった。 マツウラのMAM72は本当に素晴らしい機械だ」
とベタほめ。

 ケンタ社長の夫人シルビアさんも
「機械のことは解らないが、機械のカラーコーディネーションが非常に良いですね」と大好評。
シルビアさんは、社長秘書兼財務部長、そして電話オペレーターと八面六臂の活躍で、会社を取り仕切っています。

 また愛娘のクリスティーナさんも「今日は特別な日ですから」と通訳をかってでて事務所に。
彼女は、ミュンヘンのスエーデン系企業の衣料部門マネージャーとして、有能なキャリアを活かされています。

 「最近21才の息子が、跡を継ぐと言ってくれたので、ほっとしているんだ。 これから3年ほど旋盤メーカーで修行させ、その後に外国で数年体験させて、我が社で仕事をしてもらうつもり」とケンタ社長。

写真中央 ケンタ社長、(左)シルビア社長夫人、(右)クリスティーナ嬢

<日本は素晴らしい、日本は大好きだ。それに何と言っても寿司が旨い>

 ケンタ社長夫妻は、1978年4月に京都訪問いらい、大の日本贔屓に――。
「日本で体験したことの全てがcorrect(正しい、正確な、礼儀正しい)だったこと。 例えば京都のタクシーは白い手袋をして運転していた。 このcorrectには感動した」
とケンタ社長。

 それ以来、日本のモノが好きになり、寿司も大好物とか。
「最近、近くに寿司屋が出来てね、持ち帰って家でもよく食べるようになった。 ドイツの寿司は高いのが難点だが、アパートに住んでいる娘と息子に、今日は寿司を取るというと、必ず家に帰ってくる。 家族の絆の役目をしてくれるご馳走なんだ。 子供には金の有難さを解ってもらうため金銭的な援助は一切していないが、寿司だけは別だよ」
と、ケンタ社長夫妻は話してくれました。

 「マツウラ、そして日本、すべて素晴らしい。寿司もだ。日本のすべてがcorrectだよ――」
の言葉に、身の引き締まる思いがしました。

2001年6月取材:松浦正則、鞍津輪隆



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