松浦共栄会/研修旅行(6月15〜16日)
日々、創意工夫、改善改革――堅実企業の理念を学ぶ!

日本トムソン岐阜製作所の研修をはじめ、
かがみはら航空宇宙博物館、トヨタグループの産業記念館など訪問




恒例、早朝セミナーで勉強中の共栄会会員 かがみはら航空宇宙博物館


 松浦共栄会(会長は土橋信夫ツチハシ社長)は、6月15〜16日の両日、 53社58名が参加して第20期の研修旅行を開催しました。
研修先は、「人・空・宇宙──楽しみながら実感するエアロスペースパーク」の岐阜県各務原市にある、 かがみはら航空宇宙博物館。
「モノづくりの心に出会う、知る、体験する」ことを目的にトヨタグループ13社が共同して、 トヨタグループ発祥の地である、名古屋市西区則武町の旧豊田紡織本社工場に残されていた建物を、 貴重な遺産として活かしながら設立された、産業技術記念館。
そして、IKOブランドで著名なニードルベアリングと、直動案内機器の大手メーカー、 日本トムソン株式会社・岐阜製作所の3ヵ所。

 研修先3ヵ所のうち、日本トムソン様は松浦共栄会の会員会社で、 マツウラが生産しているマシニングセンタの精密部品を供給頂いているメーカー。
Innovation(革新)・Know-how(高度な技術)・Originality(独創性)の3つが企業理念の、 同社ブランド「IKO」。

 ニードルベアリングと直動案内機器(直動シリーズとメカトロシリーズ)の2つの製品群を生産される、 同社の岐阜製作所。
その3つの主力工場(第1工場、第3工場、第5工場)を見学研修した、共栄会会員。
見学に先駆けて挨拶された同社の山下皓常務取締役の

「昨年から今年にかけての、極端なまでの生産量の変化は、まるで天国から地獄への思いを起させるビジネスの連続でした。
特に直動ガイド機器の中のメカトロシリーズのリニアモータテーブルなどは、 半導体業界が主なユーザーであっただけに、その繁閑が工場運営に大変なダメージでした。
この天国と地獄のリスキーな状況を、今後いかにうまく運営するかが、 これからのベアリングビジネスのポイントでしょう」

との話が、会員の研修の重要な課題となりました。

日本トムソン株式会社/岐阜製作所全景 IKOブランドの日本トムソン岐阜製作所を見学研修する共栄会会員

産業記念館:トヨタグループの原点・織機の原理を実習 産業記念館:織機から自動車へモノ作りと研究創造を
分かりやすく解説/自動車の原理を実習



今後はIT、BT、NTが大きなテクノロジーに――
過去のノスタルジアの夢は捨てよ 株式会社松浦機械製作所 松浦正則


 松浦共栄会恒例の特別研修、早朝セミナーは、16日の午前8時から10時までの、 松浦正則社長が講師によるもので「市場動向と業界展望」と題して、開催されました。 その要旨は次の通りです。

  1. 日本は戦後、一貫してアメリカンライフスタイルをモデルにして、アメリカで売れているもの、 便利なものをジャパナイズさせ、これを手本に日本の産業は40年やってきた。
    自動車や電化製品などが、正にこれに当たる。

  2. しかし1985〜'90年を境として、二極対決という世界の枠組みが崩れ、変わって米国は仮想敵国を日本として、 IT、FT、BTという新しいビジネスモデルを戦略に、日本の力を大きく削ぎ落とす動きに出た。

  3. こんな変化の中から'90〜'91年以降の米国戦略が生まれた。
    この米国の戦略変革で、日本は海図のない航海を強いられたが、このグローバル化に日本は全く気がつかなかった。
    週休2日制、国民祝日が世界一多い、コストが世界一高い、そんな日本のモノ作りは、 中国を主力としたモノ作りの追い上げによって、日本の良き時代を追い込んだ。
    過去のノスタルジアを夢みた感は、もう捨てさらねばならない。

  4. こうみてくると世界のリーダーはやはり米国。
    特にダントツなのは、ITやFTという新しい戦略で、勝ち残っている。
    FT(ファイナンシャルテクノロジー)いわゆる財テクは、全く歯が立たない。
    ただ昨年から今年にかけて、ITが不況になったのは、安全保障上、 米国は無線を利用した携帯端末を利用できなかったからである。

  5. 米国のITがらみの不況は、ドットコムバブルによる崩壊が主因である。
    ただ米国人口の10%前後の金持ちが、大損をしただけで、残りの80〜90%の米国人は堅実で全く損をしていない。
    米政府は米国のインフレを押さえ込むため、ドル高堅持をしており、昨年12月にはGDPが底を打っている。

  6. 景気回復は、ここ10年をみると全体的な生産量と稼働率が、殆ど同じ動きをしていることから、 ここしばらくは動かないが、小泉内閣が進めている構造改革の動きが転換点になると思う。
    また工作機械に限ってみれば、日本は世界一の生産をしているのに、その設備は米国の約1/3。
    これほど日本の設備が少ないのは、日本が何を生産すべきかが、見えてこないからである。

  7. これからの動きは、10年を見通すとITがらみのビジネスは、今後5〜6年はまだまだ伸びようし、 プロセスイノベーションが動き出せば、IT、BT(バイオ)、NT(ナノ)がキーテクノロジーとなろう。
    特にBT、NTは2007〜2008年以降の、大きなビジネスチャンスになろう。

  8. 米国の景気は、IT、自動車、石油、電力、農業が動き出し、減税が米国民の肌に感じる11月以降に、 大きな変化をして、上昇気運になるように思う。

  9. マツウラの米国販売店メソッド社の現役社長C・マカイバーJr氏が、この5月末に急逝した。
    米国市場低迷と在庫調整のために、米国向けの受注は難しい局面を迎えている。

  10. マツウラも、この8月以降は厳しい状況になりつつある。
    会員各位は、どこよりも安く品質の良いものを提供されるよう工夫と努力がほしい。
    またコスト削減のための提案や情報などの提供も、欲しい。
    さらにマツウラMCの販売についても、国内市場へ1台でも多く販売できるよう、格別の協力を願いたい。


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