こんなユーザー No.88
あらゆる素材加工をコストダウンと短納期で・・・
とことん違いを追求し仕事をする

―有限会社加藤精工―



 「2万回転のマシングセンタを入れれば、2年は大丈夫か──の質問に、マツウラ名古屋営業所長は、 “大丈夫です。間違いなく2年間は仕事が出来ます”と答えてくれたのが今年6月に据付けたマツウラ20,000rpmのMC660-VGです」と話されるのが、 有限会社加藤精工の加藤悟士社長[1949(昭和24)年生まれの50才]です。

 同社が、マツウラの20,000rpm主軸のMCを新しく設備する決断をされたのは、同業者に勝ち抜き、生き残るための差別化が経営上、 必須条件であると考えたためのもの。
「2万回転MCが2年間のアドバンテージを他社よりも優位と判断したのは、マツウラのLX-1を今年1月にマツウラの工場でこの目で見、 この身体で体験したからです」と話す加藤社長。
加藤社長 有限会社加藤精工 マツウラ精密汎用立フライス盤
加藤悟士社長 昭和52年7月製No.1482
マツウラ精密汎用立フライス盤

マツウラ名古屋営業所の言葉が決断させました

 同社の創業は1952(昭和27)年7月、現社長の実父、加藤久三(昭和31年、36才の若さで交通事故で急逝)氏が、 点火プラグで世界のトップブランドであるNGK日本特殊陶業の脱サラからでした。
創業以来、加藤久三氏の元上司の公私にわたる、惜しみない手厚い支援によって、同社は小粒ながら一味違った事業を展開してきました。
早く実父の急逝に遭遇された現社長の加藤悟士氏は、1971(昭和46)年3月に、東京理科大を卒業と同時に同社へ入社し、事業の継承を。

 「経営工学を専攻した私のやり方に、社内から批判が出ましてね。
工場の現場も、知らない若い奴に何が出来るかと、入社時には8人いた従業員が2〜3人となり、ピンチに見まわれました」
「この打開策として、他人がやっていない差別化を図ることが先決と考えて、いろいろ模索したんです。
その時です、マツウラの精密汎用フライス盤を知ったのは。これもマツウラ名古屋営業所の言葉を信じたんです。
“M社とマツウラに、違いはありません。だって、どこのお客様も、マツウラは荒加工、M社は仕上げ加工、という条件でやっています。
それでも、マツウラの精度は変化なしですから大丈夫です。”の一言でした。
当時のマツウラ製フライス盤には、ソニーマグネスケールが装着していましたが、よほど違いを持った凄いメーカーだと感じ、 マツウラの言葉を信じて買ったんです。
おかげで、仕事が速く出来るようになりましたし、仕事の中身が随分変化しました。
創業から手掛けていた日本特殊陶業さんの仕事も、試作品や研究用のセンサー類なども自信を持って引受けていきました」と加藤社長。


たえず違った仕事に、若き挑戦をしたい

 加藤社長の若き挑戦は、さらに続きます。同じ仕事が長く続くと、いくら儲かっても飽きてしまい、 たえず違った仕事をしたい──という情熱が頭をもたげるようです。
汎用フライス盤から、いきなりマシングセンタへ設備を入れ換えることも、早く決断されています。

 「年間3,000万円の売上当時に、2,700万円のマシニングセンタを入れたいと考えました。
社内外から猛反対が出て、一旦諦めたんですが、1年後に再び反対を押し切って、T工機製のマシニングセンタを購入。
その頃は穴明け加工が主でしたが、マシニングセンタでいきなりZ軸補正をかけながら、ダイス鋼材の部品を加工したもんです。
知らないほど強い事はありませんね」と、加藤社長が振返ります。

 そんな自身の性分を知り尽くされている加藤社長は、
「加工する素材は選ばず引受けますが、大きさは手に持てるサイズの中小物だけに限定しています。最大でライトバンに乗せて運べるもの。
こんな我が侭が通るのも、仕事には一切手を抜かずに良い仕事をやってきたからでしょうか。
当社は大きな決断を今までやってきました。
大府市鉄工団地に進出したのも、当社にとっては、無謀なものでしたし、社名も加藤鉄工所から加藤精工に変更したのも、
精密加工への評価と目標を先取りするものでした」と話されます。


LX-1 の内覧会でマツウラ高速MCを再確認

 加藤社長は、精密加工とは無縁とも思われる経営工学を専攻されていますが、精密加工をターゲットにした企業経営の中から、 他人がやっていないこと、他人が設備していない機械や機器に、重大な関心を持っていたようでした。
これに敏感に反応したのが、マツウラのリニアモータマシンLX-1でした。
「見本市やマツウラの内覧会で、FX-5に関心がありましてね。
本当に欲しい機械で、あれがあれば当社も、展開が大きく変わっていたと思いますし、しっかり稼げる機械だと思います。
今から10年前でしたね。でも企業の体力がなくて──」
「しかし、今年1月、LX-1リニアモータマシンの内覧会を知り、マツウラの工場で現物を見ました。
これからは高速加工が、コストダウンと短時間の両面から解決する必須条件と思っているからです」
「でも既設のマツウラのマシニングセンタと2台のペアで使えば、既設1台に新設1台の2台に、プラスアルファの仕事が出来ると思いましてね。
2万回転の主軸付き機械で、2年は大丈夫かとの思いに変化したんです。
この主軸の実削をお願いして、M2、M3などのタップがスムーズに立ちましてね。
これは主軸がしっかりしていることの証拠だと判断し、2台目は2万回転MCにしたんです」。


コストダウンと短納期の解決は、高速加工MC!

 この6月マツウラ製MC-660VG/20,000rpmと、高速加工用CAMソフト“ギブス”を合わせて設備された同社。
加藤社長は21世紀を目前にして、次のような話をされました。

 「子供の手が離れたので、これから自分の趣く好きな仕事をしようと思っています。
この2万回転の660VGで、高速切削加工によるアルミ材のイメージから、脱アルミによる難削材への加工に挑戦してみたい。
マツウラから高速加工のノウハウを学び、自分でもしっかり勉強し、1年間は遊びのつもりで、少々贅沢ですが。
この世の中、コスト引き下げと短時間を、両方一緒に解決するには、高速加工以外にないと思うからです」。

 尾張と三河の境が、同社が位置する大府界隈。
行政も産業も経済も、はっきり別れていた1940〜1950年代から、自動車産業の雄トヨタによって、大きく再編成し統合され、 その中心地となった当地区。
小粒でピリッとした、同社の大きな夢が確実になるのも、そんなに遠くないのでは──との思いで、同社を辞しました。

マツウラ MC
高速・高精度加工で、生産現場のニーズに応える、マツウラMC


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