品質工学とは…



 品質工学を一口で説明するのは、極めて困難です。品質といいますから、品質管理の同類と思われていますが全く別物です。
ここの品質とは「製品が出荷されてから製品が社会に対して与える損失」と定義されていますから、今までの品質とは全くイメージが違います。
現在の顧客満足度の走りとも言えますが、工作機械が多くの電力を消費したり、音を発したりというのは、全て工作機械の使用者の損失です。

 品質工学は田口玄一博士により提唱された、このような技術に対する哲学を含んだ、開発研究のための壮大な方法論です。
その源流は電々公社武蔵野通信研究所のクロスバー交換機の開発における実験計画法ですが、 実験計画法が科学的な研究の方法論にすぎないと言われるところから、技術のための方法論として提唱されたのが品質工学です。
いうまでもなく田口玄一博士は実験計画法の世界的な権威でもあります。

 この方法は1980年、ベル電話研究所の半導体開発の指導による成功で、一躍名声を上げて、 世界的に「タグチメソッド」と呼ばれることになりました。
1980年代の停滞したアメリカ産業・経済を蘇らせた男とも呼ばれ、1997年には全米自動車の殿堂入りを果たしました。
日本人では本田宗一郎、豊田英二に続いて、三番目の栄誉です。

 品質工学の方法論の中心にあるのは、SN比と呼ばれる評価尺度です。
直接のSN比の概念を拡張したもので、例えば工作機械なら、加工に有効に使われる電力がS(信号)で、 電力の変動のようなものがN(ノイズ)であり、これを二つに分けて評価すれば、目的とする技術は達成されると考えられます。
結果的には、話しは極めて簡単になるが、誰もこのようなことは信じようとしないのですが、マツウラでは見事にこれが実証されました。

 日本では1983年に、品質工学会を組織して、現在1,800余名の会員が集まり研究を行っています。
田口玄一博士が名誉会長で、全国に品質工学の研究グループがあり、マツウラは富山品質工学研究会に加入しています。

 矢野宏(東京電機大学客員教授)氏談

玉村部長と富山品質工学研究会のメンバー
左端が矢野宏博士、右から3人目が玉村部長と富山品質工学研究会のメンバー


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